8. ヒューリスティックと行動経済学
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8. ヒューリスティックと行動経済学
8-1. 人の直感とヒューリスティック
アルゴリズム:論理的に厳密な手順に従って問題を分析処理するシステマティックな思考 錯誤が生じる代表的な場面は複雑で不確実な状況下での意思決定
錯視と同じく、多くの人に共通した系統的バイアスがかかった結果で修正されにくい、一種の認知的錯覚
確率推論に必要な情報を考慮せず、代表性に従って判断してしまう
連言錯誤:Aの集合よりもAかつBの集合の方が具体的でもっともらしい情報に感じられ、可能性が高いと判断される現象 例えばコインを10回投げる場合、ランダムに裏表が混じる確率と全て同じ面が出る確率は同じ。代表性によってランダムに混じる方が高いと思ってしまう。
少数の法則:確率的事象は大数の法則に従うが、少数のサンプルであっても理論値が当てはまると考えてしまう 大数の法則:ある事象が起こる確率はサンプルの数が多くなれば理論上の値に近づく 妥当性の錯覚:非合理的とも言える自信過剰傾向。代表性が高ければ高いほど自分の予測に対して強い自信を抱く。 医学教育「珍しい病気のよくある症状を疑うより、よくある病気の珍しい症状を疑う」
Kで始まる単語と3番目がKになる単語:実際は3番目の方が多いがKで始まる単語の方が容易に思い出せる
実際の頻度とは関係なく利用可能性が高くなることにも注意。単に頻繁に報道された、最近怒った、感情を強く刺激された、想像しやすい、思い出しやすい。
自分には想像もつかない出来事の確率を低く見積もるリスク認知の誤りもこうした原因で起こる
後知恵バイアス:「そうなることは最初からわかっていた」と出来事の後でそれを予測していたと考える傾向。実際の出来事に関する情報は利用可能性が高いので起こる。 最終的な推定値は最初のアンカリングポイントに強い影響を受けてしまう。
最初に20万円と提示されたものが10万円に値引き
第一印象に左右されやすいのは確証バイアスの働きに加えてこうしたヒューリスティックの影響がある
価値関数における損失回避性の現れとも解釈される
人の推論は限られた能力と時間の中で限定合理的に働き、その状況内である程度満足できるような意思決定を下せる点に優れた特質がある
パーセントではなく馴染み深い頻度で表現されれば正しい判断を促進できる
カーネマンは2002年にノーベル経済学賞を受賞
7-2. 行動経済学とプロスペクト理論
全体として人は合理性に従うものと考えられてきた。
期待効用理論:得られる期待効用が最大になる選択肢を選ぶのが合理的な意思決定 感応度逓減:利益・損失の絶対値が小さいうちは主観的な価値は大きく変動するが、絶対値が大きくなると変化を感じにくくなる 損失回避性:同じ額の利益と損失であれば、損失を過大評価してそれを避けようとする傾向。損失はそれよりかなり多い額の利得 (2~2.5倍)で初めて釣り合いが取れる 価値関数からわかること
非対称性:利得領域では人は確実性を好みリスクを嫌うが、損失領域ではリスクに対する許容度が拡大してリスク追求的になるが見られる=人は利益を確定したがるが損失を確定したがらない 参照点依存性:対照の価値は参照店からの増減で測られ、絶対値によらないことを示す フレーミング効果:客観的な価値・価格が同じでも、損失か利得か、どのような枠組み(フレーム)で表現されるかによって選考が変わる 客観的な確率が極めて低いことに関してはそれを過大評価してしまう